フィンランド ボビンレース

フィンランド ボビンレース

歴史ある港町・ラウマで 編み上げらてきた可憐なアート

 ラウマは、ユネスコの世界遺産にも指定されているフィンランド南部にある街。貿易港として早くから発展したこの地にボビンレースが伝わってきたのは17世紀ごろ、オランダやベルギーなどからだという。
 ボビンレースは、専用のピローの上に待針を刺し、そこに糸が巻き付けられたたくさんのボビンを動かし、糸を絡ませて作るレースだ。ピローに巻き付ける型紙には様々なデザインがある。初心者は簡単なパターンで、使うボビンの数も少なく、上級で難しいものになればなるほど複雑になり、打ち込む待針の数も使うボビンの数も増えていく。
 ラウマのレースは質が高いことで有名で、1754年には重要な産業のひとつとして4000枚ものレースが取引されていたという。スウェーデンやノルウェー、デンマークなどへの輸出の記録も残されている。1890年代に機械レースが作られるようになると縮小していったが、その後20世紀初めにヘルシンキの(Thella
Frankuhaeuser)テラ・フランケンハウザー夫人が、ラウマのレースづくりを復活させた。現在のラウマでは、ボビンレースメーカーズという協会が主催するレース教室に毎年100人以上が参加し、7月下旬には「レース・ウィーク」というイベントも開催されるなど、活動も盛ん。その時代ごとに女性の装いを華やかに演出し、テーブルの上に優雅さを添えるレースの魅力。ここラウマではそれが引き継がれている。

世界遺産の街ラウマ

1991年に世界遺産の文化遺産に登録されたラウマ旧市街は、木造住宅が建ち並ぶ美しい街。フィンランド南西部にあり、トゥルクから車で約1時間強ほどいった距離にある。1442年に貿易港の街として設立し、発展して来た地である。1682年に見舞われた大火で市街のほとんどが消失したが、その後再建、現在では木造住宅が約1000ほど残され、今も家屋として使われている。魚介類が自慢のレストランやラウマレースを扱う手工芸の店などショップも多く、観光客だけでなく市民も集まってくるショッピングエリアでもある。街中を縦横に走る道には色とりどりで多様なデザインの家が続き、眺めているだけでも楽しい街だ。中世に建てられた聖十字架教会や、18世紀の家庭の様子がわかる木造住宅・キルスティハウスなど見どころも多い。

Pits Priia

①糸は純白ではなく、アイボリーやグレーがかったものなどもある。ボビンレース用のボビンは1本ずつバラ売りしているので、ちょっとしたおみやげにもぴったり。
②この日もレースづくりの実演が行われていた。複雑な模様に見えるのに、ボビンを動かしている熟練した職人の手元はとても素早い。
③真上から見ると型紙に印された位置に待針が打ってあるのがよくわかる。昔は羊などの動物の皮に穴を開けたものをパターンとして使っていた。
④種類豊富なパターンが揃っている。1949年に設立したボビンレースメーカーズという協会が型紙の発行をしたり、レーススクールの運営を行っている。

Rauma Museum

⑤幾何学的な模様が連続して編み込まれていくトーションレース。ピローの上に型紙にそって刺された待針に、ボビンの糸を絡ませて作っていく。
⑥この型紙は初心者向けのもの。簡単なパターンで、待針も少なく使うボビンの数も少ない。ラウマには、トーションレースのバリエーションが数百あるそう。
⑦博物館にはボビンレース専用のピローがいくつか展示されている。20世紀前半に活躍したレース作家フルダ・ペンティラが製作しているレースと同じパターンを使ったものも展示。
⑧博物館内のテーブルの上に置かれたセンタークロス。縁にレースがあしらわれている。ラウマ旧市街にある、昔の裕福な家を博物館にした施設などでもこうしたレースが見られる。
⑨これもフルダ・ペンティラの作品。母親から5歳の時にボビンレースを習った彼女のレースは、アメリカまで売られていたという。