北海道の住まい今昔。「北海道開拓の村」。

北海道の住まい今昔。

「北海道開拓の村」。

野幌森林公園にある「北海道開拓の村」。ここは明治から昭和初期にかけて建築された道内各地の
建造物が移築復元・再現された、野外博物館です。普通の民家から、商店、病院、学校、駅、公共施設など、
北海道で生きて、暮らしてきた先人たちの足跡が残っています。今時の高機能な建築物に比べると、
気密性も断熱性もなく、「よくこんなところに住んでいたな」と驚くことばかりです。
が、厳しい北海道の自然環境の中で、少しでも快適に暮らそう、
より豊かに過ごそうとしていた北海道人たちの知恵と工夫を垣間見ることができます。
これから家づくりを考える時に、何かのヒントになるかもしれませんよ。

旧菊田家農家住宅
写真撮影:諏訪智也
http://www.swatt.jp

北海道開拓の村で見る 北海道の家と暮らし。

 北海道は、古くからアイヌの人たちが住んでいました。本格的に開拓が始まったのは、明治になってから。道外各地から移住してきた人たちは、もともと暮らしていた地域では当たり前だった建築技術で家を建てています。当然その頃は「北海道仕様」とか「北国仕様」なんてありません。おそらく、冬には積雪の重さで屋根がゆがんだり、時にはつぶれたり、しばれて玄関扉が開かなくなったりと、たくさんの苦労があったことでしょう。
 当時のことは想像することしかできませんが、村内を歩いているとさぞかし冬の暮らしは大変だっただろうな…と思わずにはいられません。
 普段はあまり意識することはありませんが、「そろそろマイホームを」と考え始めたら、北海道の家づくりや雪国の暮らし方を、改めて見直すよいきっかけになるのが、ここ北海道開拓の村です。

歴史的建造物をモデルハウス感覚で見学。

 北海道開拓の村は、大きく市街地群、漁村群、農村群、山村群の4つのゾーンに分かれています。村への出入口となっているのは、旧札幌停車場(旧札幌駅)を縮小再現した建物です。ここを出ると、すぐ左手に北海道庁のような建物が目に飛び込んできます。旧開拓使札幌本庁舎です。そのあたりから市街地群が広がります。並木の間に馬車鉄道が敷かれ、昔の街並みのように再現されているので、ちょっとタイムスリップしたような感覚になります。ほとんどの建物が内覧可能です。歴史的建造物ではありますが、STVハウジングプラザのモデルハウス見学のような感覚で見ることができます。

家の進化と 暮らしの深化を学びながら 我が家の真価を考える。

 農村群の奥に、移住者が初めて建てた家として、開拓小屋(開墾小屋)が再現されています。丸太の柱に、桁、梁、垂木をわたして、笹や萱などで屋根や壁を葺いた、まさに小屋。今風に言えばワンルームで、部屋の真ん中に炉が設けられています。「こんなところに本当に住んでいたの?」とびっくりします。
 開拓小屋の手前に、明治26年頃江別市で実際に使われていた旧菊田家農家住宅があります。これを建てたのは新潟県からの移住者で、開拓小屋と比べると、家としての機能性が格段にアップしているのがわかります。居間は、小屋裏を活かした吹き抜けになっており、天井の高さを利用して高い位置に明かり取窓が設置されています。今みたいな照明がない時代の工夫です。
 旧菊田家からすこし歩くと、明治30年に札幌市で建築された旧樋口家農家住宅があります。ここは富山県から移住した水田農家で、富山出身の棟梁が富山特有のワクノウチ造りという建築様式を取り入れて建てました。ワクノウチ造りとは、太い木材を交互に組み合わせ、箱状の骨組みをつくる構法です。室内を見ると、太く、幅や厚みも十分にある梁が何本もかけられ、とても頑丈なつくりなのがわかります。富山県も豪雪地帯なので、札幌の冬でもその堅牢さを遺憾なく発揮したことでしょう。
 旧樋口家の家の中に入ると、囲炉裏を囲んだ人形がしゃべり出します。その内容をよく聞くと、家をつくる材料を調達するのに2年、建築するのにさらに2年かかり、できた時は本当にうれしかった!と話しています。当時、家を建てることがどれほどの大仕事だったかがわかります。

建具や造作に デザインを採り入れて。

 市街地群のゾーンへ行くと、農家住宅とは一味違った、より都会的でモダンテイストを取り入れた家が建ち並んでいます。「生まれ出ずる悩み」「小さき者へ」で知られる作家、有島武郎が明治43年に住んでいた2階建ての家は、上げ下げ式の窓を採用するなど、洋風デザインが採り入れられています。
 旧有島家の隣にある旧松橋家住宅は、明治・大正・昭和にわたり、札幌で農業と会社経営に携わった松橋家が住んでいました。数度の増改築が行われているそうですが、復元されているのは大正7年の状態。伝統的な和風建築の家なので、室内は襖を開放すると続き間となるのが特徴です。家の外観は、正面ほぼ中心に玄関があり、家の顔として風格ある表情を醸し出しています。が、裏側へ回るとガラス扉を多用し、採光性と開放感を演出しています。最近は縁側のある家は少なくなりましたが、テラスやウッドデッキを考える時に、この家のつくりはヒントになるのではないでしょうか。

馬車鉄道や、冬には馬そりも。 子供たちも楽しめます。

 北海道開拓の村は、民家の他にもまだまだ見どころが満載です。漁村群にある旧青山家漁家住宅(小樽市/大正8年)は、鰊漁で栄えた頃の様子を見ることができます。番屋の周りには、網倉、米倉、板倉などがあり、鰊漁場の建物が集約的に保存されている貴重な遺構です。
 白い壁に緑色と黄色のポイントカラーが印象的なのが、旧開拓使工業局庁舎。明治初期の洋風建築が特徴で、開拓使関係庁舎としては現存する唯一のものです。その歴史的価値の高さから、2013年に国の重要文化財に指定されました。
 市街地群の真ん中ほどにある旧札幌警察署南一条巡査派出所(札幌市/明治44年)は、記念撮影ポイントのひとつ。開拓時代のおまわりさんの制服を着たボランティアがいたら、一緒に記念撮影に応じてくれます。おまわりさんは村内を巡回しているので、派出所以外でも見かけたら声をかけると気軽に応じてくれます。
 また、夏期は道産子(北海道和種馬)が牽く馬車鉄道、冬期は馬そりが村内を走ります。これは子供たちに大人気。さらに、伝統遊具の手づくり体験ができる講習会なども行っており、ファミリーで楽しむことができます。
 54.2haもの広大な敷地なので、1回ですべてを見学するのは大変です。が、季節に合わせた催し物なども行われているので、それを目当てに再訪するのも楽しいかもしれません。

北海道開拓の村

http://www.kaitaku.or.jp/

●所在地/札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
●電話/(011)898-2692
●開村時間・定休日/夏期・冬期など季節により異なります。詳しくはHPをご覧ください。

●料金/
一般冬期680円・夏期830円、大学生・高校生冬期550円・夏期610円、その他詳しくはHPをご覧ください。
※中学生以下・65歳以上の方、障害者手帳保持者は無料です。
(65歳以上の方は年齢を確認できるものをご提示ください)