北欧のお菓子

ココロを満たす

北欧のお菓子

誕生日などのお祝いの時に食べられるお菓子やパンは、
魔法のスパイスが入っているみたいに気持ちをわくわくさせてくれるもの。
季節の訪れを知らせる期間限定のお菓子たちも、
日々の暮らしに小さな楽しみを運んできてくれる存在だ。
ちょっと素朴な北欧のお菓子とパンで、ほっと心に温もりを。

Photo/by Nobutoshi Matsunaga Kyoko Honda

■Kringler 〈カイングラ〉

幸せを分け合う 大きなデニッシュぺストリー

 サイズは30cmほど、10~12人分以上にもなるとても大きなデニッシュペストリー「カイングラ」は、誕生日やクリスマスの時に食べられるもの。デンマークでは、誕生日を迎える本人がパン屋さんに注文して、お祝いに来てくれた人々に切り分けて食べる習慣がある。自分の幸せを皆に分けるという意味が込められているのだという。中身はカスタードとレーズンなど、シンプルだがバターの風味がいっぱいで美味しい。ペストリーは、元々ウィーンから伝えられたお菓子を参考にして作られたといい、本国ではヴィンナブロード(Wienerbrød)と呼ばれている。

■Kransekake 〈クランセカーケ〉

国旗が彩る、 タワー型のユニークなケーキ

 「クランセ」とは輪のこと。リング状に焼き上げた生地を何段も重ねて作ったもので、クリスマスや建国記念日などお祝いの時に食べられる。アーモンドプードルと砂糖、メレンゲとシンプル。それをサイズが異なる特別な焼き型に流し込んで焼き、冷ました後、波状に細くアイシングをかけ、デコレーションする。大きいものからタワーの形になるよう重ねていき、完成。積み上げる段数には特に決まりはなく、国旗で飾りつけるのが基本で、たくさん旗を立てるのがノルウェー流。上からではなく一番下の段から外して砕いて食べていくもの。

①Toscakaka 〈トスカカーカ〉
着飾らないふだん着の美味しさが人気
スウェーデン風アーモンドケーキで、スポンジの上に、砂糖を加えてキャラメル状にしたアーモンドスライスをたっぷりのせたもの。丸形で焼いたり、カップケーキ型に入れたり、カフェなどでもおなじみのお菓子。一見とてもシンプルだが、バターの風味がしっかりきいたパウンドケーキが後を引き、アーモンドの食感と甘みと美味しいコラボレーションに。カーカ(kaka)はスポンジケーキやクッキーなどのことを言い、トータ(tårta)はクリームを使ったケーキ、バーケルセ(bakelse)は切り分けられたケーキのこと。


②Vanbakkelser 〈バンバケルサ〉
粉砂糖のお化粧に赤の彩りが愛らしい
デンマークの伝統的なシュークリーム。バンバケルサの「バン」はデンマーク語で「水」という意味。シュー生地にビスケット生地をのせ、その上にグラニュー糖をまぶしてオーブンへ。そうすることで表面のヒビがうまれるそう。裏側からカスタードクリームをたっぷり注入し、表面には生クリームと、カスタードと相性のいいラズベリージャムをちょこんとトッピング。ジャムの代わりにゼリーをのせることもあるがジャムの方が一般的。クリームを使用しているので夏場はあまり出回らないが、ほぼ一年を通して食べられている。


③Äppelpaj 〈エッペルパイ〉
季節のくだものの美味しさをアツアツで
リンゴにシナモンシュガーをまぶし、粉、砂糖、バターをそぼろ状に混ぜたクランブル生地をのせて焼き上げる、北欧の家庭的なデザートのひとつ。手軽に作れるのが魅力で、食事を楽しんでいる間にオーブンにセットしておけば、焼きたてアツアツのパイが 食後に楽しめる。温かいパイに冷たいカスタードソースを添えて頂くのが定番。リンゴがたくさん出回る旬の秋に作りたいデザート。手づくりならではの美味しさで、家庭によってレシピは様々。季節によってベリーやルバーブ、アップルピューレなどを使っても美味しい。
④Vaniljhjärta 〈バニーリヤッタ〉
見た目もキュートで甘いハートのお菓子
ハートの形が可愛らしい、北欧のお菓子屋さんやカフェでも定番のお菓子。バターたっぷりのリッチな生地にカスタードクリームを詰め、専用の型を使って焼き上げたら、粉砂糖でおめかし。焼き立ては、外はさっくり中はしっとり。ひと口かじるとバニラの甘い香りがいっぱいに広がる。こういった北欧のオールドファッションな焼きっぱなしのお菓子には、粉やバターのシンプルな味わいを生かしたものが多く、コーヒーにも紅茶にも良く合う。北欧の街で歩き疲れた時は、バニラハートをかじりながら、ほっと一息ついてみては。


⑤Joulutorttu 〈ヨウルトルットゥ〉
クリスマスにぴったりな星形のパイ
フィンランドでクリスマスに食べられるお菓子のひとつで、ヨウルトルットゥとは「クリスマスパイ」のこと。まるで風車や手裏剣のような珍しい形をしているのが特徴。12月になると市販されるが、小さく正方形にカットしたパイ生地にプルーンのジャムをのせ、形を整えて焼くだけと作り方も簡単なので家庭でもよく作られる。フィンランドのクリスマスで食べられる料理は、豚のもも肉のオーブン焼きやハム、それとサーモンやサラダなど。ヨウルトルットゥやジンジャークッキーなどのお菓子も、それに加わる定番メニューだ。


⑥Lussekatter 〈ルッセカッテル〉
光のお祭り「ルシア祭」のためのパン
サフランとミルク、砂糖が入ったほんのり甘いパンで、毎年12月13日に行われるルシア祭の時に食べられる。ルシア祭はクリスマスシーズンに行われる行事のひとつで、スウェーデンとフィンランドの一部の地域で行われている。これは「光のお祭り」で、白い衣装にキャンドルを立てた冠をかかげた少女たちが、コーヒーとサフランパンを家々や教会、学校などを回って配るというもの。ルッセカッテルとはスウェーデン語で「ルシア猫」。S字にした独特な形が猫の目に似ているというのが由来で、上の飾りはレーズン。