北欧世界遺産へ。

北欧世界遺産へ。

のんびりたどる、スカンジナビアの国々。

 厳しい北欧の大自然がつくりあげた美しく雄大な景観。現代へとつながる、いにしえの人々の暮らしが刻まれた先史文明の遺跡。北ヨーロッパの独特な文化やテイストが織り込まれた、優美で繊細な造作を持つ、歴史ある建築物。そんな、訪れた者に感動を与えてくれる、北欧の世界遺産は現在28ヶ所ある(4ヶ所にまたがるシュトルーヴェの観測点群を除く)。「世界遺産」とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)内にある世界遺産センターが、世界中にある普遍的価値のある遺産を、人類共通の遺産として守り、次世代に伝えていくことを提唱している条約のこと。世界遺産リストは文化遺産、自然遺産、両方の価値を兼ね備えている複合遺産の3種類があり、登録件数は世界中で830を数えている。
 どこかゆったりした雰囲気が流れる北欧で世界遺産をめぐるなら、ちょっとのんびりした旅が似合うはず。また違った「北欧」の顔を知る、世界遺産へ出かけてみよう。

●デンマーク クロンボー城 Kronborg Castle

「ハムレット」のモデルにもなった ルネッサンス様式の歴史ある城塞

 デンマークのシェラン島、ヘルシンオァの岬の突端に建つ優美なルネッサンス様式の城。時の王エリック7世がスウェーデンとデンマークを挟んだ海峡を通過する船に通行税を課し、その徴収のため1429年に建造したのが始まりだ。火災や戦争によって幾度か焼け落ち、現在の姿は1924年に改修されたもの。
 この城を今日まで有名にしたのは、ここがシェークスピアの悲劇の戯曲「ハムレット」のモデルにされたこと。北側の棟にシェークスピアの胸像のレリーフがはめ込まれており、ここにそのエピソードが書かれている。この城にはアムレート(Amleth)という王子のエピソードがあり、その名の綴りの最後のHを頭にもってきてハムレット(Hamlet)としたという。多忙だったシェークスピアはおそらくこの城を自身で訪ねることがなかったとされている。クロンボー城はヨーロッパでは名が知られていた城だったので、この城にまつわる話を伝え聞いて物語の舞台に選んだのではないかと言われている。
 また城の地下には、デンマークが国の危機に陥った時に目覚め、人々を救うために立ち上がるという英雄「ホルガーダンスク」の像がある。アンデルセンが童話のモチーフにするなど、デンマークではよく知られた伝説上の人物だ。

●スウェーデン ドロットニングホルムの王領地 Royal Domain of Drottningholm

美しいフランス風の離宮 「北欧のヴェルサイユ宮殿」


 ストックホルムの西約10㎞、メーラレン湖に浮かぶローヴァエン島にあるこの宮殿は、その華麗さから「北のヴェルサイユ宮殿」とも呼ばれている。現在の王室の住居でもあるが、建物内部も一部が公開されており、その前に広がる庭園や敷地内に残る施設とものに、建設当時の美しさを見学することができる。
 16世紀末頃、ここに王室の離宮が造られたのが始まり。その宮殿が火災により焼失した後、17世紀の終わりに王妃エレオノーラが新たな宮殿の建造を始めた。ストックホルムの王宮などを造った建築家ニコデムス・テッシン親子によって、バロック様式を取り入れて造られたが、その後も改装・改築が繰り返され、より洗練されたフランス的な要素が加えられていった。現在の姿に完成したのは1756年のことだ。広大な庭も宮殿を建築したニコデムス・テッシンの息子が手がけ、本格的なフランスのバロック式庭園に仕上げられている。また、1777年には当時の王グスタフ3世により、英国式庭園も造られた。
 宮廷劇場は1764年から1766年の建築で、現存するのはその当時のもの。国王グスタフ3世の死後、長い間使用されていなかったが、1922年に舞台装置や緞帳などがオリジナルの形に修復され、現在は夏季にオペラやコンサートが開催されている。