北欧のデザインホテル

心地よいモダン空間

北欧のデザインホテル

お気に入りの音楽をかけて、読みさしの本を手にベッドやチェアでうたた寝。
ホテルのサウナでリラックスして、ゆっくりとシェフ自慢の料理を味わう。
しっとりとした落ち着いたインテリアのバーで、カクテルを1杯。
そんな、時計を気にせず、オリジナリティーあふれる空間で
まったりと過ごしたい、デザインホテルいろいろ。

アルテックのインテリアがあふれる フィンランドの自然を表現したホテル

 ひとことで言えば「自分の家にいるような」くつろぎ感にあふれている。距離も文化も遠く離れているフィンランドは、訪れる日本人にどことなく近しいものを心に起こさせるようだ。ヘルカの館内にもそんな、馴染みのある空気がいたるところで感じられる。
 とはいえフロント・ロビーからレストラン、客室にいたるまで、館内を見回せばアルヴァ・アアルトの名品ばかり、アルテックの家具がほとんど。まるでアルテックのショップの中にいるようである。
 1928年建築の年季の入った建物が2005年にアルテックとのコラボレーションによって生まれ変わったのがこのホテル。現在のマネージャーがこうした共同企画を思いついたのは、過去に自分が勤めていたホテルが同社の家具でコーディネイトされていて、それが深く印象に残っていたからだという。シンプルだが無機的ではなく、フィンランドの豊かな自然を思い起こさせるような温もりが感じられる家具やファブリックは、その部屋全体にもほのかな温もりを伝えている。お客をもてなすプロフェッショナルがこだわって選んだ理由がわかる気がする。
 各部屋のベッドスペースの天井には、フィンランドの群島や森、湖沼の写真が写されたファブリックが張られている。何気なく使われる客室内の整理棚にも、フィンランド産の材木を用いたりと、隠れたところにも「フィンランド」にこだわっている。ベッドサイドにフィンランド出身のデザイナー、ハッリ・コスキネンのブロックランプが置かれているなど、アルテック以外のインテリア品にもフィンランド的なものがセレクトされている。
 レストランの壁にもフィンランドの森の写真、本物の白樺の木がハンガースタンドとしてしつらえられ、床に張られた国産パーチのムク材がゲストをあたたかく迎える。ディナータイムにはなるべく国産の食材を用いて、コースにはモダンなフィンランドメニューを取り入れている。たとえば「ラッピコース」ではトナカイ肉、といったように季節により内容は変わるが、フィンランド的なものになっている。
 首都、中心部にあっても、料理や人が身近に感じるインテリアから、自然や空気を感じとり、「フィンランドへの旅」を味わってもらう。それが、ヘルカが考える最上のもてなしなのである。心をほぐすこの雰囲気は、自分たちの国が持つ魅力をよく知り、うまく取り入れているからこそ生まれたものなのだろう。